住居表示の実施により登記名義人の住所の変更の登記をした後、その住所の更正の登記をする場合の登録税は、当該変更登記が変更証明書の過誤によるものであることが確認できるときは、登録税法19条4号ノ2により免除できるが、右以外のときは免除できない (昭和40年12月09日民事甲3410)
市町村長のミスにより、誤った登記がされた場合、その誤りを更正する登記にまで課税するのは適切ではないということで、この場合の更正登記は非課税とされています。
しかし、市町村長のミスの場合以外では、通常通り、登録免許税が課されます。
今回はこの不動産登記先例を解説します。
住居表示とは
住居表示とは、住所をわかりやすく表示するための制度です。
住所の表現の方法として、住居表示と地番があります。
地番は、土地一筆ごとに割り当てられている番号のことです。
しかし土地が開発されるなどして、土地が合筆や分筆され、隣の土地なのに番号が飛んでいるような状態が出てきて、とても分かりにくくなってしまいました。
そこで始まったのが住居表示という制度です。
住居表示は、建物ごとに割り当てられた番号です。
住居表示と地番は、次のように表現されます。
地番
大阪府大阪市○○区〇〇町1丁目1番地1
住居表示
大阪府大阪市○○区〇〇町1丁目1番1号
- 外部リンク 住居表示とは
- 外部リンク 住居表示制度とは何ですか?
かつては、すべての住所が地番で表示されていましたが、
順次住居表示がされていきました。
住居表示実施による住所変更登記
住居表示が実施され、登記名義人の住所が変更になると、登記名義人の住所変更登記(名変登記ともいいます)を申請することができます。
この住所変更登記は、市町村長が発行した変更証明書を添付して申請しますが、この変更証明書に誤りがあり、新住所が間違っている場合は、誤りを訂正する更正登記が必要になります。
しかし、この更正登記は市町村長のミスで、申請人には責任はないので、これに課税するのは酷だということで、この更正登記は非課税とされています。
住所に誤りがあった場合の更正登記の申請書の記載は次のようにします。
登 記 申 請 書
登記の目的 〇番所有権登記名義人住所更正
原因 錯誤
更正後の事項 住所 〇○市○○町○番〇号
申請人 〇○市○○町○番〇号
○○ ○○
添付情報 登記原因証明情報
登録免許税 登録免許税法第5条第4号
というわけで今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。