住所移転後に住居表示が実施されたときの住所変更登記は非課税

2022年4月18日月曜日

登録免許税 名変

 登記名義人が住所の更正の登記未了のうちに住居表示の実施により住所が変更した場合において、住所の更正の登記と変更の登記を同一の申請書で申請するときは、登録免許税の納付を要しない


2 登記名義人の住所の変更登記をしない間に住居表示の実施により住所に変更が生じ、その登記を同一の申請書で申請する場合の登録免許税についても前項と同様である


3 登記名義人の氏名の変更と住居表示の実施による住所変更の登記とを同一の申請書で申請する場合の登録免許税は、不動産1個につき1000円である

(昭和42年12月14日民事甲3447)

 

上記は、住所や氏名の変更や、更正登記をしないうちに、住居表示の実施があった場合についての取り扱いを示した不動産登記先例です。

 

今回は、この不動産登記先例を解説します。

 

 

住所の更正登記をしないうちに住居表示の実施があった場合は非課税

1のケースは、登記名義人の住所が間違っていたときに、その間違いを更正(修正)しないうちに、住居表示が実施された場合です。

住居表示とは、住所をわかりやすく表示するための制度です。

 

住居表示については、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

 

このケースでは、一つの申請書で住所変更登記を申請することができ、登録免許税は非課税になります。

 

そもそも住居表示実施による住所変更登記は、登録免許税が非課税なので(登録免許税法第5条第4号)、最後の住所の変更の原因が住居表示の実施の場合は、まとめてすべて非課税だということです。


この場合の登記申請書の記載は、次のようになります。



              登記申請書

 

登記の目的  〇番所有権登記名義人住所変更、更正

 

原   因  錯誤

令和〇年〇月〇日住居表示実施

 

変更後の事項

住 所 ○○市○町1丁目2番3号

 

申 請 人  ○○市○町1丁目2番3号

 

添付書類

登記原因証明情報  非課税証明書

 

令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局

 

登録免許税  登録免許税法第5条第4号

 

不動産の表示

(省 略)

 


住所の移転による変更登記をしないうちに住居表示の実施があった場合は非課税


2のケースは、住所が移転した後、住所変更登記をしないうちに、住居表示が実施された場合です。

この場合も、1のケースと同様、非課税です。


この場合の登記申請書の記載は、次のようになります。



             登記申請書

 

登記の目的  〇番所有権登記名義人住所変更

 

原   因  令和〇年〇月〇日住所移転

令和〇年〇月〇日住居表示実施

 

変更後の事項

住 所 ○○市○町1丁目2番3号

 

申 請 人  ○○市○町1丁目2番3号

 

添付書類

登記原因証明情報  非課税証明書

 

令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局

 

登録免許税  登録免許税法第5条第4号

 

不動産の表示

(省 略)

 

 

氏名変更による変更登記をしないうちに住居表示の実施があった場合は課税される

税金

1、2のケースとは異なり、この場合は登録免許税が1000円課税されます。

 

この場合でも住居表示の実施については登録免許税が非課税になりますが、氏名変更の登記について登録免許税を非課税にする根拠がないため、氏名変更分の1000円が課税されるということです。


この場合の登記申請書の記載は、次のようになります。


登記申請書

 

登記の目的  〇番所有権登記名義人住所、氏名変更

 

原   因  令和〇年〇月〇日氏名変更

令和〇年〇月〇日住居表示実施

 

変更後の事項

    氏 名 A

住 所 ○○市○町1丁目2番3号

 

申 請 人  ○○市○町1丁目2番3号

 

添付書類

登記原因証明情報  非課税証明書

 

令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局

 

登録免許税  金1,000円

登録免許税法第5条第4号

 

不動産の表示

(省 略)

 

 

まとめ

以上をまとめると、次のようになります。

・住所更正、住居表示実施 → 非課税

・住所移転、住居表示実施 → 非課税

・氏名変更、住居表示実施 → 課税(1000円)

 

 

今回は以上です。