区制施行の場合の名変の登記原因や根抵当権の追加設定

2022年4月28日木曜日

名変

要旨

1 登記名義人の住所が登記記録に記録されている住所から他の住所に移転した後、区制施行、地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合の登記名義人の住所変更の登記をするときの登記原因は、「平成○○年○月○日住所移転,平成○○年○○月○○日区制施行」

 

2 共同根抵当権の追加設定で、前登記の債務者の住所について区制施行などの地番変更を伴わない行政区画の変更がされた場合は、前の登記の債務者の変更の登記をすることなく、追加設定の登記をすることができる

(平成221101日民二2759(民二2758))

 

区制施行の場合の所有者登記名義人の住所変更登記

政令指定都市になると、市には区が置かれます。これが区制施行です。

 

たとえば、大阪府堺市は平成18年4月1日に区制施行されました。


 

 

登記名義人が登記されている住所から他の住所に移転した後、区制施行された場合の登記名義人の住所変更登記を一の申請情報で申請する場合の登記原因は、次の通りです。

  • 平成○○年○月○日住所移転
  • 平成○○年○○月○○日区制施行

 

 

この登記には添付情報として、当該行政区画の変更に係る市区町村長の証明書を添付します。

 

この証明書は各区役所で発行してもらえます。

 

またこの場合の登録免許税は、登録免許税法第5条第5号の規定により非課税です。

ということで、住所移転した後、区制施行が行われた場合の住所変更登記の申請書の記載例は次の通りです。

 

登 記 申 請 書

 

登記の目的 〇番所有権登記名義人住所変更

 

原因 平成○○年○月○日住所移転

       平成○○年○○月○○日区制施行

 

更正後の事項 住所 〇○市○○区○○町○番○号

 

申請人  〇○市○○区○○町○番○号

        ○○ ○○

 

添付情報   登記原因証明情報

       

登録免許税  登録免許税法第5条第5

 

 

共同根抵当権の追加設定をする際に、債務者の住所が区制施行により変更している場合

共同根抵当権の追加設定をする場合、既に登記されている根抵当権の債務者の住所が変わっている場合は、先に根抵当権の変更登記を申請しないと根抵当権の追加設定の登記を申請することができません(登記研究325号P72、登記研究545号p154号)。

 

しかし、根抵当権の債務者の住所の変更が、区制施行などの地番変更を伴わない行政区画の変更である場合は、前登記の債務者の変更の登記をすることなく、追加設定の登記をすることができます。